社労士試験って独学で合格できるの?
社労士試験に合格できる良いテキストと問題集を知りたい。
という悩みを解決します。
独学で社労士試験を目指していると、本当に独学で取れるのか不安になりますよね。
今回は実際に社労士受験をして、3回目で見事完全独学で合格を勝ち取ったFさんに社労士の独学受験記を書いてもらいしました。
小さいこどもを育ているワーママです。仕事と育児が忙しい中、法律初学者から3回社労士受験をチャレンジし、独学で合格しました。
そこで今記事では、合格までの勉強時間や独学を選んだ理由・独学受験記、さらに実際に使用した教材をご紹介します。
この記事を読めば独学でも合格できると理解できますし、反対に予備校や通信講座の利用を検討した方がよいのか、判断できるでしょう。
- 社労士試験に独学で臨むか迷っている人
- 社労士試験を独学で合格できるのか知りたい人
ここからは実際に社労士を独学で合格されたFさんにお話をききました。
社労士独学合格したときの状況
結論、社労士試験は独学で取れます。
なぜそう言い切れるかというと、私が独学で合格したからです。
受験1度目(2018年)→ 不合格
受験2度目(2019年)→ 1点不足で不合格
受験3度目(2020年)→ 合格!
そもそも私が社労士取得を目指した理由は、人事課に配属されたためです。仕事を行う上で社労士資格が役立つと思い、取得を目指しました。
上司に取得を促がされたとも言えます・・。
勉強スタート前の知識レベルは、人事課といえども、採用活動をメインとしていたので法律の知識はないに等しい状態です。
じゃあどうやって合格したかが気になると思いますのでその時の状況を下記2点について詳しく説明します。
- 費用
- 勉強時間
社労士独学合格にかかった費用
まず実際に社労士試験に関わる費用です。
テキスト代 4,000円
過去問 5,000円
問題集 3,500円
法改正・白書対策本 2,000円
社労士受験料 9,000円x3回=2,7000円(*令和3年度からは1,5000円に値上げが決まっています。)
教材費だけで合計約14,500円。結構安いですね。
これは最初の受験のときに買っただけですか?
それが・・、社労士試験は法改正が頻繁にあるので、最新の情報を常にキャッチアップするため毎年すべて買い直していました。
ただしく最新の法律を学ぶ必要があるため、3回買い直したため教材費だけで結果的には43,500円程度でした。
社労士独学合格までにどのくらい勉強したか
まず私が合格したときの勉強時間をまとめました。
2回めは1点足りずに不合格。本当に悔しかったです。
受験1度目(2018年):8:30~18:00仕事。平日1時間・休日3時間の勉強 → 不合格
受験2度目(2019年):育児休職。1日2~5時間の勉強 → 1点不足で不合格
受験3度目(2020年):9:00~16:00仕事。平日1時間・休日3時間の勉強 → 合格!
1度目の受験は勉強時間が圧倒的に足りず、結果は見るも無残な有り様。本番は試験時間が長く、想像以上にハードだということのみ学んで帰路につきました。
2度目の受験の年は育休を取得していたため、子どもが寝ている時間などのスキマ時間を利用して勉強を続けました。1日中暇があれば勉強しているほど、勉強に励みました。
しかし試験の結果は、1点足らず不合格。非常に悔しい思いをし、もう受けるのは辞めようかと嫌になったほど落ち込みました。
2度目の受験後、1ヶ月間程勉強を投げ出していたのですが、育児休職から職場復帰するに当たり「もう一度だけ受けてみよう」と思い直し、勉強を再開。
3度目に受けた年は、通勤時間や子どもを寝かしつけた後勉強し、ついに合格を掴み取りました。
この3年間予備校や通信講座を一度も利用せず「独学」で学習をしていたため、私が社労士は独学で合格できると証明します!
実際に勉強で気をつけたことは次の章で紹介しますね。
社労士独学受験の勉強法
ここからは、社労士試験を独学で受験するにあたり「勉強で気をつけたこと」を4つご紹介します。
①勉強の習慣をつける
②学習スケジュールを立てる
③テキストや問題集は一冊に絞る
④厚生労働省のホームページや社労士の先生のブログを読む
順番に見ていきましょう。
社労士独学受験の勉強法① 勉強の習慣をつける
まず1つ目に「勉強の習慣をつける」ことを意識しました。
一般的に社労士試験に合格するには、800時間〜1,000時間程度勉強時間が必要と言われています。
仮に1,000時間の勉強時間が必要だとすると、1日に必要な勉強時間は次の通りです。
1,000時間÷365日=2.73時間
改めて計算してみると働きながら1日約3時間の確保って大変だよね。
大学受験以来勉強する習慣がなかった私は、まず勉強の習慣をつけることから始めました。
「毎日最低テキスト1ページは読む」との目標を立て、通勤時間等にテキストを読んでいました。
テキスト1ページであればすぐに読み終わります。始めから毎日3時間勉強するといったような大きな目標を立ててしまうと、スグに挫折していたと思います。
まずは社労士試験の勉強よりも、勉強を習慣化させることから始めたことが良かったと、今では思います。
継続していくうちに勉強が習慣化されてきたので、次第に毎日の勉強が苦ではなくなりました。
学習を習慣化するには、学習時間を記録しておくことをおすすめします。
日付 | 勉強時間 | 科目 | 勉強内容 |
---|---|---|---|
2021年2月1日 | 1時間 | 労働基準法 | テキスト読み込み |
2021年2月2日 | 30分 | 労働基準法 | 過去問 |
2021年2月3日 | 2時間 | 労働安全衛生法 | テキスト読み込み |
上記の表のように、毎日記録していると具体的な数字が見えてくるので「このくらい時間を重ねているのだ」と実感でき、モチベーションの維持に繋がります。
社労士独学受験の勉強法② 学習スケジュールを立てる
続いては学習スケジュールを立てました。
社労士試験は10科目と膨大な試験範囲なので、戦略的に勉強を進めていかなければなりません。ただやみくもに勉強をしていても、試験本番までに全てを網羅するのは到底できないでしょう。
社労士試験の勉強には以下の通り、効率の良い勉強の順番があります。
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労災保険法
- 雇用保険法
- 労働保険徴収法
- 労働に関する一般知識
- 健康保険法
- 国民年金法
- 厚生年金保険法
- 社会保険に関する一般常識
まずは全ての科目の基礎となる「労働基準法」から学習を始め、労働科目から社会保険科目に移ります。
また、一年間をおおまかに「インプット期」「アウトプット期」「直前期」の3つに分け、以下のようにスケジュールを組みました。
- 9月〜3月「インプット期」⇒テキスト読み込み
- 4月〜6月「アウトプット期」⇒問題集と過去問を解く
- 7月〜8月「直前期」⇒法改正や白書対策
このようにザックリとしたスケジュールを把握することで、学習がスムーズに進みます。
効率の良い勉強の順番で、スケジュール通りきっちり進めていくことが、社労士試験の合格を勝ち取る秘訣です。
私は社会保険科目がすごく苦手で、特に「国民年金法」と「厚生年金保険」に苦戦しました。
内容が似ているので知識が混乱し、スムーズに理解ができなかったのです。
しかし、年金科目についてリサーチしていると実は逆に年金科目は得点源になるとの情報を得ました。
そのため基本的には上記のスケジュールで勉強を進めていたのですが「年金科目だけを勉強する期間」を設けたこともあります。
スケジュールを立てることも大切ですが、柔軟にスケジュールを変更することも大切なポイントです。
社労士独学受験の勉強法③ テキストや問題集は一冊に絞る
3つ目のポイントはテキストや問題集は一冊に絞ることです。
たいてい一冊のテキストで十分試験範囲をカバーできます。
独学での勉強の場合、良質なテキストを選ぶことが重要になります。
書店には参考書や問題集がたくさん並んでいるので、どれを選べば良いのか迷っちゃう。出版社によって中身が若干違うし、一冊では足りないんじゃない?
しかし手当たり次第テキストを選んでも、どれも最後まで学習を終えられず中途半端になる可能性が高いのです。
そのため「一冊のテキスト・問題集」に絞り、その一冊をやり遂げましょう。テキストの「どこに何が書いてあるか」覚えるくらいまで、繰り返すのがポイントです。
私は1度目の受験のときテキストを2冊持っていたけど、どちらも最後まで終わることができず、知識も定着しなかったという失敗をしたからこそ言えます。
一冊を飽きるほど繰り返し学習することが、合格するためにとても重要であると実感しています。
社労士独学受験の勉強法④ 厚生労働省のHPや社労士の先生のブログを読む
最後のポイントは厚生労働省のホームページや社労士の先生のブログをチェックすることです。
上でもお伝えしたとおり、私は2度目の受験で「一点」足りず、不合格となりました。
一点足りなかった科目が、「労働に関する一般知識」です。
通称「労一」は、社労士試験の中で最も難関だと言われています。なぜかというと、試験内容はテキストでは対応できず、どこから出題されるか全く分からないためです。
労一を勉強するには、厚生労働省が発表する統計資料や白書を読む必要があります。
しかし統計は種類が多く白書は500ページ以上とボリュームが多いので、独学では対策が難しいのです。
そこで、厚生労働省のメールマガジンや社労士の先生のブログを活用したんですね!
厚生労働省のホームページからメールマガジンを登録すると、以下のような内容のメールマガジンが配信されます。
このように社労士試験の内容と関係のある内容が配信されているので、労一対策にぴったりなのです。
また、予備校の社労士の先生や現役社労士の方が、受験生向けのブログなどで発信をされています。
実際に筆者が参考にしていた『資格の大原』の社労士の先生が運営されているブログがとてもためになりました。
実際に私が合格した年の「労一」と「社一」は、このブログの内容をチェックしていたために点数を取ることができたのでは?と思っています。
このブログはです。社労士試験に役立つ情報をたくさん提供してくれるので、ぜひチェックしてみてください。
社労士独学受験記 実際に使ったテキスト・教材
ここからは、Fさんが実際に使用した教材をご紹介します。
まずはテキストから。
通信講座といえば「U-CAN(ユーキャン)」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
私はメインのテキストとして『ユーキャンの速習レッスン』を使用していました。
なぜユーキャンの速習レッスンを選んだかというと、以下の3点が良いと感じたためです。
- 初心者でも分かりやすく解説している
- 3冊に分けられる
- 2色刷り
社労士試験はたくさん難しい法律用語を暗記しなければなりませんが、ユーキャンの速習レッスンは法律初心者でも分かりやすいように噛み砕いて解説されています。
また、3冊に分離できるため通勤時間に勉強するのにもってこいの一冊です。
中身は赤と黒の2色刷りなのもGoodです。フルカラーのテキストも一見すると良く見えるのですが、どこが重要なのか分かりにくいと感じました。
ユーキャンの速習レッスンはシンプルな作りで内容も非常に充実しているので、初心者の方におすすめです。
続いては過去問集。
人気予備校TACが出版する過去問シリーズです。
よくわかるシリーズの過去問は「一問一答形式」の初心者におすすめの過去問本です。年数は10年間分に対応しているので、バランス良く学習できる一冊になっています。
過去問本には5つの選択肢から1つの答えを解答するタイプもあります。初心者が5つの選択肢から1つの答えを導き出すのには時間がかかるので、そのような形式の過去問本は少々ハードルが高いといえます。
私は「一問一答形式」から始めて良かったと感じています。一問一答形式だとなぜ間違ったのかを毎回確認すぐできるためです。
たしかに5つの選択式の場合、正解した問題の確認はするけど間違った問題の確認を疎かにしがちですよね。
はじめは「一問一答形式」で問題に慣れ、理解が進んでから実際の試験と同じ5つからの選択式の過去問集に移行しましょう。
ただし、過去問はネットでも見られるので、購入しなくても対処できそうです。(実際に私も2年目からは不要と判断して購入していません。)
最後に問題集。
こちらはTACの問題集です。過去問だけでは法改正に対応した問題に対応できないため、問題集も使用していました。
そっか、過去問だけでは法律が新しくなるともう出ない問題もあるもんね。
本書の特徴は、択一式問題、選択式問題、それぞれ本試験と同じ形式で演習をすることができる点です。
試験同様「5肢択一形式」なので実践力を磨けます。
2冊に分離でき、持ち運びも便利なので重宝していました。
これらの教材を使用し、独学での合格を目指したのですが、やはり独学はどうしても非効率になります。
分からない点は自分で全て調べる必要があるため、情報を調べるために時間を費やしてしまからです。
予備校や通信講座であれば、理解できない点は講師に尋ねるとスグに教えてくれるので、理解が圧倒的に早く進むでしょう。最短で合格できるルートが用意されています。
社労士受験をどうして独学に決めたか
最終的には独学で社労士試験に合格したのですが、予備校や通信講座を検討していた時期もありました。
私が通学しようか迷っていた予備校・通信講座は、次の4校です。
- 資格の学校TAC
- LEC東京リーガルマインド
- フォーサイト
- アガルートアカデミー
HPを見ていると、効率良く学習できそうなカリキュラムが組まれています。
しかし、私は「独学」の道を選びました。理由は4つです。
- 価格が非常に高い
- 通学時間が長い
- 仕事で残業があるため
- 小さな子どもがいるため
まず、予備校の値段の高さがネックになりました。予備校で受講する場合、20万〜30万円以上します。当時社会人2〜3年の私には高額で手がでなかったのです。
やはり一番の理由は費用。3回受けても大手予備校よりは安い。
値段だけでなく、通学時間も予備校を選ばなかった理由の一つです。
田舎に住んでいたため近くに予備校はなく、1時間半ほどかけて通う必要がありました。
そうこうしているうちに、子どもが生まれたので予備校での受講は選択肢から外れました。
それではなぜ予備校はよりも融通がきく「通信講座」を選ばなかったのでしょうか。
その理由は「独学より費用がかかる」という一点のみです。
独学ですと1年で合格できた場合はテキストや過去問等試験に必要なものを全て揃えたとしても、費用は2〜3万円ほど。通信講座は安くても5万円以上はします。予備校よりは安いのです。しかし、独学よりは高いので、独学を選びました。
最終的には法改正に応じてテキストを最新版に変えたりしたので、5万円弱です。
しかし、合格してから感じることは「多少無理をしてでも予備校、特に通信講座を受講しとくべきだった」ということです。
独学での勉強は非効率であり、合格するまでに数年かかってしまうのが普通です。私も合格までに3年もの時間を費やしています。
社労士試験は難関資格だから合格までの平均受験回数は3~4回と言われているよね。
もし予備校や通信講座を受講できる環境があるのであれば、受講されることをおすすめします。
上でも述べましたが、社労士試験は法改正に対応した問題が毎年出題されるので、テキストは毎年買い換える必要があります。
独学で何年も不合格となると、結果的に通信講座の方が安上がりだったというケースは珍しくないでしょう。(実際に筆者もそのケースに当てはまります。)
- 通学の時間が短い方
- 勉強の習慣がついていない方
- 周りに社労士試験を受ける人がいない方
上記のような方は、予備校や通信講座を検討してみてはいかがでしょうか。
社労士を独学で受験して大変だったこと
ところで、独学で勉強する上で一番大変なことは何だと思いますか。
それは「モチベーションの維持」です。
独学での勉強は孤独です。
たしかに社会人だと周囲に社労士はもちろん試験勉強に取り組んでいる人ってそうそういないよね。
独学は挫折してしまう可能性が非常に高いのです。
予備校や通信講座を受講し、社労士を目指している仲間や講師と触れ合うことが、モチベーションを保つ秘訣だと感じています。
独学でも合格はできますが、合格までに数年かかることは覚悟しなければなりません。
社労士 独学受験記 まとめ
社労士「独学受験記」をまとめます。
このステップを踏めば、私のような初心者でも独学で合格できます。
- まずは勉強を習慣化させ、毎日勉強する力を身に着けた
- 学習スケジュールを立て、効率的に学習を進めた
- 使用するテキストや問題集は一冊に絞り、繰り返し学習
- 厚生労働省のメールマガジンや現役社労士の先生のブログを読み、知識を補完
繰り返しになりますが、独学は予備校と比べてやはり時間はかかります。予備校や通信講座の方が、短時間で合格を目指せるのは間違いありません。
もう一度、気をつけた点をまとめておきます。
・ 自宅で勉強する時間を作れる人は、独学でも合格できる
・一冊のテキストを丸々暗記するほど読み込む
・スケジュールを計画し、効率よく学習を進める
独学はモチベーションの維持が本当に難しいのです。そのため、一人で黙々と机に向かうのが苦痛な方は独学に向いていません。そのような方は、予備校や通信講座を利用し「効率の良い勉強時間」を作ることが合格への近道といえるでしょう。